第3回JIA・テスクチャレンジ設計コンペ

2011.09.06 Tuesday 16:40
0
    先月、とあるコンペの作品を出展しました。
    9月3日、そのコンペの公開審査会が開催されました。
    第3回JIA・テスクチャレンジ設計コンペです。





    テーマは、
    『寒冷地の仮設住宅』−持続可能な暮らしに向けて−
    JIA北海道支部と(株)テスクが主催する北海道内のコンペです。
    興味深いテーマに魅かれ、出展してみました。

    結果、審査員特別賞でした。

    最優秀賞・優秀賞には、あと一歩およばず、逃してしまいましたが、
    元々枠のなかった賞が、公開審査会の場で創設され、
    それを受賞する事ができたということは、非常に名誉な事だと感じています。

    審査会に白熱した議論を呼ぶ作品をつくることができて、非常に満足しています。
    ある意味、最優秀賞よりも、晴れ晴れとした気分です。
    作品を通じて、審査員の皆さんや、審査会場との一体感を感じた気がします。


    さて、どのような内容の作品を発表したのかというと・・・






     

    「復興のタネ」−近未来型仮設住宅− と題し、発表しました。
    近い将来、札幌を大災害が襲ったと想定し、ストーリー仕立てのプレゼンテーションです。


    20XX年、札幌市全域を襲う大地震が発生した。
    我々は、地域の災害時収容避難場所に指定されている近隣の小学校へ避難した。

    小学校の体育館及び主要施設は、耐火・耐震・免震がなされており、
    太陽エネルギーによる発電・蓄電や給湯、上水・中水・非常食の備蓄等、
    常時なされており、
    当面の応急的ライフラインは、小学校のエネルギー棟に確保されていた。

    グラウンドは、応急仮設住宅建設を想定し、あらかじめゾーニングがなされ、
    凍結深度以下の路盤地業整備がなされていた。

    仮設住宅は、3つのゾーンに大別される。
    「コミュニティゾーン」は、単身の要介護者を収容する。
    「自立支援ゾーン」は、コミュニティ棟の近くに配置し、
    自立可能だが、何らかのケアが必要な単身者、または夫婦が暮らす。
    「向こう3軒両隣助け合いゾーン」は、助け合いが自然に芽生えるよう、
    単身者、または夫婦世帯と多家族世帯とが混在するカタチで暮らす。

    00:ゾーニング図


    現在、地域毎に避難場所は指定されているが、災害を想定した整備はほとんどされていない。




    全国にネットワークを持つ、ハウスメーカー・プレファブメーカー等が、
    それぞれ会社という枠を越え共同で、
    規格住宅・建売り住宅用に
    共通規格の汎用ユニット部材を開発し、
    常時、各地域工場にて生産・ストック・流通されていた。

    震災を免れた地域の工場から、重機・工具と共にストックユニット部材が輸送されてくる。
    各地から駆けつけてくれたボランティア職人に、被災した地場の工務店の職人も加わり、
    彼らが中心となり仮設住宅建設がスタートした。

    自由とプライバシーを奪われた避難所生活は、想像を絶する過酷さだ。
    仮設住宅建設は、一刻も早く行われなければならない。

    汎用ユニット部材は、それを可能にする。
    ユニット部材は、基本的に六角レンチのみで、簡単に組立可能なよう設計されている。
    したがって、従来よりも高品質な仮設住宅が、短時間で建設可能になる。

    また、専門的な部分を除き、
    コツをつかめば、
    経験者でなくとも、建設に参画可能なシステムである。

    01:断面詳細図






    まずはじめに、単身の要介護者を優先的に収容するグループホーム型住宅から着工する。
    行政の出張所やサービスコーナーを併設し、
    被災者の安否確認やメンタルケア・生活相談等を行う。
    また、集会・休憩・打合せ・食事等を行える場を設け、
    今後の仮設住宅建設の拠点であり、生活の拠点としてのコミュニティ棟となる。

    職人たち指導の元、働く事の出来る被災者も、建設に参画し始めた。
    「出来る事は自分でやろう」そんな意識が芽生える。

    財産や仕事を失い、被災者は、見通しの立たない将来に強い不安を感じる。
    その為、私の考える近未来では、仮設住宅建設の他、介護・炊き出し等、
    参画者が、労働することで、行政予算や義援金から対価を得られる仕組みが整備されている。
    ここに復興へのモチベーションが生まれる。

    安否情報の確認・住まいの情報の共有・助け合い・共同作業などなど、
    ここに自然なカタチの新しいコミュニティも芽生える。

    02:コミュニティ棟平面図







    コミュニティ棟から、風除室を兼ねた通路空間を伸ばす。
    一般住棟棟は、それに寄り添うようなカタチで「自立支援住棟」から、
    「向こう3軒両隣住棟」へ順次建設を進める。

    1軒完成するたびに、被災者のモチベーションが徐々に向上し始める。
    それに伴い、建設参画者は、次第に増えてゆく。

    被災者の間で、自分達の生活は自分達で守るのだという意識と、
    同じ境遇、同じ目的へ向かう連帯感が、コミュニケーションを活性化させる。

    仮設住宅生活は、2〜3年と長期にわたる。
    仮設であれど、楽しい我が家でありたい。
    住棟の南北には、半屋外空間を設ける。
    日射とプライバシーを制御し、冬季間の通路や食料の貯蔵場所等としても利用できる。

    通路空間・半屋外空間・住棟間の中庭は、
    居住者単独のあるいは、
    共同でのライフスタイルやニーズ合わせたカスタマイズを許容してくれる。

    ここでも、震災前には有り得なかったまったく新しいコミュニティが、
    ごく自然なカタチで生まれ、そして、育ちはじめる。


    03:一般住棟平面図






    一般住棟には、土間空間が設けられ、ストーブが設置されている。
    太陽熱とストーブの熱は、土間に蓄熱される。
    仮設住宅の暮らしは、住環境の激変から、内向的になり、孤独になりがちである。

    土間・火・ぬくもりは、仮設住宅群という一種の村社会との円滑な接点となり得る。
    半屋外空間・通路空間との中間領域として機能する。
    土間空間は、実質的にだけではなく、心理的にも被災者を暖めてくれるだろう。

    軒先でおしゃべりしたり、お互いの住宅を行き来したりする事から始まり、
    買い物・通院・洗濯・炊事・育児等、日常のちょっとした不便を分かち合ったり、
    コンポストによって出来た堆肥で、共同菜園を作ったり、カーシェアリングしたり、
    土間や中庭で火を囲み宴会をしたり、
    土間を中心に家族の輪から、コミュニティの輪が、どんどん広がる。

    04:各部立断面図






    単身の要介護者の受入先が決まり、
    一般被災者も準備が整った者から順次恒久住宅へ移り住む。
    スペースの空いたコミュニティ棟は、行政の出張サービスの他、
    地域の医師・介護士・ケアマネージャーの出張所や仮の職場となった。
    空き家になった一般住棟は、地元の理髪店・商店等の仮店舗となったりもした。

    被災者達の移転先は、他地方への移住・公営住宅への転居・民間賃貸への転居、
    そして、自宅再建による転居である。
    自宅再建は、資力が必要である。
    二重ローンになるケースも少なくない。それでも、まちへの、地域への愛着がある。

    役目を終えた仮設住宅は、再度ユニット部材に分解され、安価で再利用できる。
    いちばんのECOは、長く使い続ける事である。

    この時、仮設住宅は、『まちの復興のタネ』となる。

    また、仮設住宅生活を経験した住人の積極的にまちと関りたいという意識は、
    まちづくりのモチベーションのタネともなり得る。
    単なる復旧ではない。行政主導の復興でもない。
    自分達のまちは、自分達の手で創るという「創造的復興」がここから始まる。

    05:周辺街並み図






    さいごに:
    人々は、震災で亡くなった人の為や仮設住宅での生活、さまざまな想いを込めて、
    木の苗木やタネを植えて立ち去った。
    時を経て、森に囲まれた小学校は、「まちの復興のシンボル」となった。
    まちの担い手は、他の誰でもない、自分達なのだというシンボルである。
    そして、この森と共に、次世代の子供達に受け継がれてゆく。



    以上のような提案をしました。



    そして、
    9月3日、公開審査会がありました。






    まずは、20作品ほどの中から、一次審査通過8作品が選ばれました。
    会場のスクリーンにて、発表されました。
    とりあえず、その中に自分の作品を見つけ、ホッと一安心。








    二次審査は、パワーポイントを使い、聴衆の前での公開プレゼンテーションです。
    普段の講演会などと違い、今回は、審査されるまな板の鯉状態です。
    ものすごく緊張してしまいました。





    その挙句、持ち時間オーバーという珍事を起こしてしまいました。
    舞い上がってしまい、その後、何を話したのか、まったく記憶にありません。
    とんだ失態です。






    審査は進み、8作品中、4作品の中にも選ばれました。
    嬉しいものです。
    たどたどしいプレゼンテーションの意図を汲み取っていただいた審査員の皆さんに感謝です。

    5ポイントの作品が2点。
    3ポイントの作品が2点。
    私の作品は、3ポイントでした。

    審査員協議の上、私は、惜しくも落選したのですが、
    話題性のある作品であるとの審査員の配慮で、
    私の他、もう1作品、計2作品が、急遽、審査員特別賞となりました。

    副賞の海外研修は逃したものの、本来、枠が設けられていなかった賞が創設され、
    その賞を、私の作品が受賞できた事、この上なく名誉に思っております。
    それと同時に、とても誇りに感じております。

    実行委員の皆様、審査員の皆様、出展者の皆様、大変お疲れ様でした。
    協力してくださった皆様、本当にありがとうございます。
    非常に晴れ晴れとした、よい経験をさせていただきました。



    コンペ公式ブログはこちら
    コンペの応募要項や他のエントリー作品が見れます。

    コンペ実行委員長のブログはこちら
    展示・公開審査会の様子が、違う角度から見ることができます。



    さて、
    このたび、私がつくったこの作品、札幌市や、行政に対してのメッセージも込めております。

    実現可能か不可能かはわからない、単なるアイディアや意見の状態ではありますが、
    もしも、行政関係者の方々のお目に留まったのなら、忌憚なきご意見をいただきたく思います。

    宜しく御願い致します。






    大判プリント・ポスター印刷
    Print Factory リバスタ・ピーエフ のホームページはこちら
    今回、大判プリントアウトをお願いした会社です。


    北海道札幌市の建築設計事務所
    一級建築士事務所
    遠藤設計工房 のホームページはこちら








    Comment
     種って?
    最後に種明かし。
    こころにくい演出ですね。

     遠藤さんの案が最優秀・実力NO.1なのですが、
    若手に賞を譲ったという感がしてなりません。

     重ね重ね、おめでとうございました。

    • ken
    • 2011/09/07 7:05 PM
    kenさん

    ありがとうございます。

    しかし、エントリー作品すべてにおいて、
    どの作品がきてもおかしくないレベルだったと思っています。
    実力伯仲、大接戦。

    久々に、頭がシビれました〜^^;
    ですが、とてもいい緊張感だと思っています。
    この感触を、次に繋げていきたいと思います。

    • えんどう
    • 2011/09/07 9:53 PM








       
    Trackback
    IKEA キッチンプランニング&収納プランニング ハウスキーピング etc... おまかせください(^3^)!
    • ハウスキーピング専門ウィッチハウス
    • 2011/09/07 4:21 AM
    介護食士についての情報サイトです。よろしければご覧ください。
    • 介護食士を目指そう!
    • 2011/09/08 1:31 PM
    住宅ローン借り換えについての情報サイトです。よろしければご覧ください。
    • 住宅ローン借り換えマニュアル
    • 2011/09/08 2:51 PM
    住宅ローンについての情報サイトです。よろしければご覧ください。
    • 金利推移を見て学ぶ、賢い住宅ローン選び
    • 2011/09/08 4:19 PM
    仕事、家事、親の看病で勉強するヒマもなかった主婦でもたった2週間でケアマネ試験にラクラク一発合格した勉強法をお教えします。
    • ケアマネージャー試験一発合格プログラム
    • 2011/09/10 8:05 AM
    仕事、家事、親の看病で勉強するヒマもなかった主婦でもたった2週間でケアマネ試験にラクラク一発合格した勉強法をお教えします。
    • ケアマネージャー試験一発合格プログラム
    • 2011/10/03 6:34 AM
    中古車査定シュミレーションページです。大手数社から同時に一括査定ができます。
    • 中古車査定
    • 2011/10/18 11:28 PM
    この記事のトラックバックURL

    Calender
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    28293031   
    << May 2017 >>
    うちのカメレオンに使っているケージです。
    懸賞・ポイント Warau.JP
    建築士のお仕事
    建築士の試験とお仕事♪
    FC2 ブログ★ランキング
    にほんブログ村ランキング参加用リンク
    Selected entry
    Category
    Archives
    Recent comment
    Recent trackback
    Recommend
    魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉
    魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉 (JUGEMレビュー »)
    ダイアナ・ウィン ジョーンズ
    アニメよりも原作の方が・・・
    Recommend
    サジュエと魔法の本 上巻 赤の章
    サジュエと魔法の本 上巻 赤の章 (JUGEMレビュー »)
    伊藤 英彦
    『ハリーポッター』と同じくらいハマリました。
    Recommend
    Link
    Profile
    Search
    Others
    Mobile
    qrcode
    Powered
    無料ブログ作成サービス JUGEM